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    「なーんだ」「あたりまえだよ」と言う話であるが、うっかりするとなかなか気付かない類いの話である。



     定義から言って、赤外線は肉眼では見ることができない。

     たとえば、よくある赤外線を使ったリモコンだが、電池を入れ替えても動作しない。
     おかしいのは赤外線を発しているリモコンの方なのか、それとも赤外線を受信している本体の方なのか、判断がつかない。
     特別な設備なしに、赤外線リモコンが壊れているかどうかを確かめる方法は、次のとおりである。


    (1)携帯電話のカメラをリモコンに向ける

    (2)カメラモードとなった携帯電話の画面を見ておく

    infrared_light_off.jpg


    (3)リモコンのボタンを押す


    (4)カメラモードの携帯電話の画面で、リモコンの発光体が光ってるかどうか見る。

    infrared_light_on.jpg
     人の書いた「私が読んだ本のリスト」は、どうしてこんなに悲しいのだろう?

     昔々、糸井重里が言っていた、「思わず友達の家の夕食を見てしまった悲しみ」に似たところがあると思うのは気のせいだろうか?

     友人宅がどんな夕食の席で歓談を楽しんでいようが沈黙しながら食べていようが、自分の家と比べて、オカズが一品多かろうが少なかろうが、そんなことは本来どうだっていいことだ。
     それでも「見なきゃよかった」という感に不意におそわれることを糸井は言っていたのだと思う。

     誰か見知らぬ他人が、司馬遼太郎を読んでいようが、『ローマ人の物語』を愛読書にしていようが、田中芳樹をリストに入れていようが、そんなことは本来どうだっていいことだ。
     そんなことは、その人の知性や智慧や知識や教養や文化資本と、ほとんど何の相関も(きっと、多分、お願い!)無い。万一あったとしても、そんなことは本来どうだっていいことだ。

     どこかの国の最高裁判事が、愛読書に司馬遼太郎と『ローマ人の物語』を挙げていた件について、浅田彰が「司馬遷かトゥキディデスを読め、というのが無理にしても、ウソでもいいから、せめてギボン(『ローマ帝国衰亡史』)ぐらい挙げられないのか」うんぬんみたいなことを嘆いていたが、人としての有り様はともかく(そんな戯れ言は、まともな著作を一冊でも書き下ろしてから言え、とでも言い返すのか?)、この「ウソでもいいから」という感慨は、私の中では、友人宅夕食の「見なきゃよかった」という感情と微妙に重なり合う。

     大抵の人は、読んだ本についてウソをつくのは好きではない。そしてウソをつくことは、一般的に言って、あまりお薦めできる方略ではない。Honesty is a policy.(正直だって一つの策である)というのが本当だとしてもだ。
     きっと「私が読んだ本リスト」をおおっぴらにしている人たちは、ウソをつくくらいなら、死かそれともVisual Basicでの開発かを選ぶ、潔い人たちなのだろう。この人達に幸いあれ! そしてどんな本や論文やモデルを持って来ても、結論は「中立命題」(あらゆる政策は結局は無意味)と決まってる似非ノミスト・ブロガーには、誰か未公開株と適当な留学先を与えてやれ。

     それでも、ドラッガーのとなりに、カーネギーではなく、世阿弥『花伝書』があれば、仕事と成長について語るべきことを持っている人物である確率を、20割増くらい高く見積もってあげても構わないだろう。
     『エスキモーに氷を売る』の隣に、二宮金次郎「暮方取直日掛縄索手段帳」(『日本農書全集(第II期)63 農村振興1』に収録)を置く人なら、受け売りでないマーケティングの本質について語るに足る人物と踏んで、大方間違いないだろう。
     ああ、逆の例をひとつ。リストに誰もが名前ぐらい知ってる哲学書、プラトンやデカルトの著作ということになるが、そんなのを混ぜ込んでくるのは、ただの阿呆だ。



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     冬眠図書館は冬の間だけ営業する。

     春から夏の間の忙しい間(まったく本なんか読めない!)に、みんなはせっせと「読みたい本」を図書館に持っていって貯めておく。
     読み終えた本を置いていく人もいる。
     ほんとは1冊100円の有料なのだけれど、置いていった冊数だけ無料で借りられる特典がある。
     みんなこれを利用している。
     もちろん本を持っていってなくても本は読めるし借りられる。

     冬になると本が読みたくてしょうがない。
     仕事なんかしたくない。
     ただ本に囲まれてゆっくり夜通し本を読みたい。
     そういう人が集まって、インターネットでも声をかけたら100人くらいの人が集まって、4人の中心メンバーが司書をやることになって、冬眠図書館は始まった。

     冬眠図書館は深夜に営業する。
     夜の8時から朝8時までの開館。
     深夜だから当然お腹が空く。
     お腹が空くので、冬眠図書館ではシチューが食べることができる。
     しかもブランケット付き。
     4人の司書さんは、それぞれコーヒー当番、ブランケット当番、コッペパン当番、そしてシチュー当番を担当してる。
     コーヒーやコッペパンにはファンのためのチケットがある。
     もちろんシチュー・チケットも。

     図書館にはテラスもある。
     図書館は毛布と読書用スタンドを貸してくれる。
     だから夜のテラスに出て、好きな本を読むこともできる。少し寒いけれど。

     あまりにもシチューが(それにコッペパンも!)好評なので、司書さんは忙しそうだ。

     いつ貰ったのか、雑誌の切り抜きのようなものが手元にある。
     そこに出ていた冬眠図書館。

     これ、どこにあるの?




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