| Home |
2009.03.29
独学者のための文献リスト:文学理論
![]() | 文学理論 (1冊でわかる) (2003/09/06) ジョナサン・カラー 商品詳細を見る |
![]() | 文学とは何か―現代批評理論への招待 (1997/02) テリー イーグルトン大橋 洋一 商品詳細を見る |
カラーの本が入門書、
イーグルトンの"Literary Theory"(邦訳:文学とは何か)が論争的意図をもった理論書だとすると、
セルデンの『現代の文学批評』(彩流社、1994)は練習問題までついた全うな教科書。
姉妹編として実践編というべき"Practising Theory and Reading Literature"(1989)もあって多分第一推薦になる本。実際、以前は教科書としての採用率は高かった。近頃はカラーぐらいでないと学生さんがついてこれないみたいだ。
![]() | 現代の文学批評―理論と実践 (1994/04) ラマーン セルデン 商品詳細を見る |
![]() | Practising Theory and Reading Literature (1989/08/01) Raman Selden 商品詳細を見る |
もう少し詳しく丁寧にやってるものとしては、
『現代批評理論:22の基本概念』『続・現代批評理論:+6の基本概念』(平凡社)
なんかがある。
![]() | 現代批評理論―22の基本概念 (1994/07) フランク・レントリッキアトマス・マクローリン 商品詳細を見る |
![]() | 続:現代批評理論―+6の基本概念 (2001/03) フランク レントリッキア、 商品詳細を見る |
辞典としては
『コロンビア大学 現代文学・文化批評用語辞典』(松柏社)
が、とてもあっさりな記述と各項目ひとつひとつに参考文献がついている丁寧なつくりがよい。割に広い範囲の言葉を拾ってることもあって、普通の哲学事典などよりもよほど実用的。「この、おフランス野郎!」と声を投げつけたくなるような『ワードマップ現代文学理論』なんかのもったいつけた頭の悪さにささくれた心も静まる(笑)。
![]() | コロンビア大学 現代文学・文化批評用語辞典 (松柏社叢書 言語科学の冒険) (1998/03) ジョゼフ チルダーズゲーリー ヘンツィ 商品詳細を見る |
![]() | 現代文学理論―テクスト・読み・世界 (ワードマップ) (ワードマップ) (ワードマップ) (1996/11/29) 土田 知則神郡 悦子 商品詳細を見る |
あとは、岩波講座文学(2002~2004)の別巻に『文学理論』というのがあるので、このあたりで参考文献を拾う。
![]() | 岩波講座 文学〈別巻〉文学理論 (2004/05) 小森 陽一、 商品詳細を見る |
だが、文学理論はおそらく世界で一番つまらないもののひとつなので(笑)、まあ文学研究自体がそうなのかもしれないが、作品の方がどうしたっておもしろい。なるべくなら、何かの作品と絡みながらやった方がよいので、
"Case Studies in Contemporary Criticism" (Boston: St. Martin's Press)
という、有名どころの作品を題材に、典型的な現代批評の方法論でどんな読みができるかを試してみせるシリーズから自分が読んだことがある作品の巻を手に入れて実地に学ぶのが楽しいし、身にもなるように思う(しかも、600ページくらいのが千円ちょっとで買えたりする)。たとえば『緋文字』(The Scarlet Letter)だとこんな感じ
それでも、それよりもクルティウスとかアウエルバッハを読む方がおもしろいし、ためになる気がするが。
![]() | バルザック論 (1990/05) E.R. クルティウス 商品詳細を見る |
![]() | 世界文学の文献学 (1998/09) エーリヒ アウエルバッハ 商品詳細を見る |
物語論とかレトリック研究とか、いろいろ個別分野については、またあらためて。
最後にひとつ(2冊だけ)、手に入りにくい(しかも値段が高くなってる)し、文学理論とは全然関係がないけれど(笑)、
ナボコフ『ヨーロッパ文学講義』『ロシア文学講義』(TBSブリタニカ)
は、見つけたら即買うべし。文学理論とは関係ないが、「読む」ことのひとつの究極。しかもめっぽうおもしろい。文学音痴/小説嫌いの私が小説を読みたくなったほどだ(笑)。
![]() | ヨーロッパ文学講義 (1992/11) ウラジーミル ナボコフ 商品詳細を見る |
![]() | ロシア文学講義 (1992/11) ウラジーミル ナボコフ 商品詳細を見る |
2009.03.29
竹内外史『集合とはなにか』(講談社 ブルーバックス)
学校で「集合」というのを教えるようになった頃、書かれた本(それから何度も指導要領がかわって、「集合」はどうなったのか、よくわからない)。
多分、ブルーバックスの企画としては、時流に合わせた「集合についての、ちょっとした読み物」だったのだろう。
けれど、世界のロジシャン(数学基礎論をやってる人)は、手加減というものを知らなかった。たった200ページしかないのに、カントールもゲーデルもコーエンもかるく抜き去り、はるか後方へ置き去りにして、現代集合論の最先端(つまり竹内外史その人だ)までとっとと足を進めてしまう。しかも、副題が「はじめてまなぶ人のために」と来る。
多分、ブルーバックスの企画としては、時流に合わせた「集合についての、ちょっとした読み物」だったのだろう。
けれど、世界のロジシャン(数学基礎論をやってる人)は、手加減というものを知らなかった。たった200ページしかないのに、カントールもゲーデルもコーエンもかるく抜き去り、はるか後方へ置き去りにして、現代集合論の最先端(つまり竹内外史その人だ)までとっとと足を進めてしまう。しかも、副題が「はじめてまなぶ人のために」と来る。
![]() | 集合とはなにか―はじめて学ぶ人のために (ブルーバックス) (2001/05) 竹内 外史 商品詳細を見る |
| Home |