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     1925年、Harold Rossという男が「New Yorker」
    という雑誌を創刊した。

     1926年、すでに「King’s English」(1906年)という書
    を公にしていたFowler兄弟のひとり(どっちだか忘れてしまった)は、
    今も英文についての一大権威である「Modern English 
    Usage」と出版した(現在も無論出版されている)。Fowler兄弟は
    有名だから辞書にも載ってる。辞書も作った。

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     Fow・ler
     n. ファウラー
     H(enry) W(atson) ~ (1858―1933) 《英国の辞書編集家で,
    著書に Modern English Usage, 弟の F(rancis) G(eorge) ~
    (1870―1918) との共著に The King's English, C.O.D., P.O.D.
    がある》.
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     書いたのは、長生きした兄の方だった。

     Fowlerが英語に与えた影響は絶大である。どちらかといえばアメリカ
    英語に与えた影響の方が大きかった。
     Rossは、「Modern English Usage」を英文にとっ
    て福音書だと考えた。ニューヨーカーに影響のあった「New 
    Yorker」は、しばらくのあいだ、「Modern English 
    Usage」に盲目的に従った。編集者は、著名な作家に手紙を書くことだっ
    て辞さなかった。

     「John Updike様
       恐れ入りますが、あなたのお書きになったwhich(関係代名詞)
       は、すべてthatに変更させていただきます。」

     盲目的な信仰は、長くはつづかなかった。1950年代にはもう、編集者た
    ちはFowlerの書を、神の啓示とは考えなかった(つまり支配は30年あ
    まり続いた)。

     1957年には、アメリカ人(アメリカ英語)は、「英語の書き方」につい
    て自前の権威を手に入れた。E.B.Whiteは、William 
    Strunk Jr.の書いたもの(1918)に、「重点解説」の一章を書き加
    え、マクシミリアン出版社はそれをWhiteとStrunkの共著として出
    版した。そして85ページほどの本は、その手のタイトルを持つ本の最高峰の
    ものとなった(現在も無論出版されている)。Strunkの授業を受けたこ
    ともあるWhiteは、序文でその思い出について語っている。

    「不要な語は削れ」と著者は66ページで叫んでる。その命令に、ストランク先生自身、身も心も打ち込んでいる。私が先生の講義を受けていたころの話だ。先生はいつも不要な語をあまりにも多く、またあまりにも強引に削りすぎた。そのことに熱中しすぎて、削ることに夢中になり、余ってしまった講義時間をどうやりすごそうか、いつも頭を悩ます羽目に陥った。……ストランク先生は、簡単なトリックを使ってこの窮地を逃れた。同じことを3度繰り返し言ったのだ。文章の簡潔さについての講義だった。先生は机の上に身を乗り出し、背広の襟を両手でつかんで、しゃがれた声でこう叫んだ。



    「ルール17。不要な語は削れ! 不要な語は削れ! 不要な語は削れ! 」


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