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     ソサエティはシニア・フェロー(senior fellows)とジュニア・フェロー(junior fellows)より構成されている。

     シニア・フェローは、ハーバード大学法人より選任された教授と理事と学長と学部長の9人よりなり、その会の運営とジュニア・フェローの選考の責任を負っている。

     ジュニア・フェローは、知識と思想に将来大きく貢献する前途有望な研究者として、教授その他の有識者より推薦され、シニア・フェローによって選抜された20才~30才までの若者である。
     毎年、約6名が選ばれる。その採用任期は3年で、一回の更新が可能である。
     こうして選ばれたジュニア・フェローが常時ソサエティには約24名いる。
     彼らは食事と部屋を無料で提供され、研究に必要な費用は授与される。
     また、彼らはハーバード内のあらゆる社会的な資源(すべての課程、演習、実験室など)を無料で利用できる。
     さらに、関心があり重要と思うことについて知的冒険をする自由を保障されている。

     ジュニア・フェローは全く自由に研究すればよいが、彼らにも守らねばならない義務がある。
     ソサエティの創立者たちは、多様な関心と専攻を持つ学者間での自由でインフォーマルな交流が常に彼らの独創的な知的成長を促進すると確信していた。
     そこで、この自由でくつろいだ交わりを持つために、毎月曜日、シニア・フェローとジュニア・フェローは夕食を共にする事にした。
     この夕食会に出ることが彼らの公的な唯一の義務である。
     その夕食会には、ソサエティの先輩も、ジュニア・フェローによって招待されたゲストも出席する。


     ジュニア・フェロー(1934-1939)であった社会学者ホーマンズは夕食会の様子を次のように記述している。
    「シェリー酒を飲みながら、ゲストが紹介される。かつてのジュニア・フェローが帰ってくることも歓迎される。また、いずれのジュニア・フェローもゲストを連れて来ることもできた。その後、夕食が告げられる。委員長が∩字型の食卓の上席に座り、他の人々は自由に座った。その際、ゲストとシニアが隣り合わないように、その間にジュニアが座った。年齢やランクは無視された。ポテトと青野菜を添えられたビーフ・テンダーローインが食卓に並ぶ。食事が進につれ、ワインを片手に、生き生きとした会話が、食卓の上を行き来する。こちらではアフガニスタンの外交政策が、あちらでは、社会科学における操作主義が、むこうでは、ネズミの行動実験が、語られている。そこには、講演も論文発表も決められた話題もない。ジュニア・フェローはただ自然に出るに任せて自分の研究について話す。多くのフェローとゲストは夕食後も、客間に移り、椅子を引き寄せて話を続けたり、新しい話題を始めたりする。時には深夜に及ぶ」(Homans & Bailey, 1948, p.20)。

     すぐれたエスノグラフィとして名高い『ストリート・コーナー・ソサエティ』の著者である社会学者ホワイトもまた、ジュニア・フェロー時代(1936-1940)の夕食会での体験を次のように述懐している。

    「L.J.ヘンダーソンには、調査方法と理論構築上で大変お世話になった。彼はザ・ソサエティ・オブ・フェローズの委員長として、自宅における家長のように、その月曜日の夜の夕食会の万事をとり仕切っていた。夕食会には、A.ローレンス・ローウェル、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド、ジョン・リビングストン・ローウェス、サユエル・エリオット・モリスン、アーサー・ダービィ・ノックも出席していたが、何といってもジュニアー・フェローに人気のあったのはヘンダーソンであった。彼は若い社会科学者にかみつくのを楽しんでいるようであった。私が初めて出席した月曜夕食会で彼は私をつるしあげ、社会に対する私の考えがいかに甘いセンチメンタリズムに根ざしているかとやりこめるのであった。私は、ヘンダーソンの鋭い批判に腹を立てたこともたびたびであったが、その都度、自分の現地調査だけは彼がいうようなものにはしないぞと決意を新たにするのだった」(『ストリート・コーナー・ソサエティ』寺谷訳 17頁)。

     会話によってのみ、人の思考はその考えを鋭くされ、また、新しい考えを得るのだと、このソサエティの創立者であるヘンダーソンやローウェルやホワイトヘッドは考え、そのように実践した。
     このような夕食での会話は、設立時からずっと続けられており、今もジュニア・フェローの唯一の公的な義務となっている。

    その成果
     1983年、ソサエティは50周年を迎えた。その時、ここで学んだジュニア・フェローたちは12個のノーベル賞や多くのピューリッツァ賞を受賞し、また、ハーバードの教授の10分の1を占めていた。現在はもっと増えていることであろう。著名なジュニア・フェローを何人かあげてみよう。

    J.バーディーン(John Bardeen ノーベル賞を2度受賞した物理学者)
    B.F.スキナー(B. F. Skinner 行動心理学者)
    W.V.O.クワイン(W. V. O. Quine 哲学者・論理学者)
    G.バーコフ(Garrett Birkhoff 数学者)
    K.ウイルソン(Kenneth G. Willson ノーベル賞受賞の物理学者)
    T.S.クーン(T. K. Kuhn 科学史家)
    P.サミュエルソン(Paul Samuelson ノーベル賞受賞の経済学者)
    N.チョムスキー(Noam Chomsky 言語学者)
    A.シュレジンガー(Arthur Schlesinger Jr. 歴史学者)
    M.バンディー(McGeorge Bundy ケネディ大統領のブレーン)
    E.O.ウイルソン(E. O. Willson 社会生物学者)

     後に犬猿の仲となるスキナーとチョムスキーはともにジュニア・フェローであった。先に登場したホーマンズは、スキナーの徹底的行動主義から強い影響を受けているし、多くのエスノグラフィを自らの小集団研究の素材にしている。

     最近では『ヤバい経済学』のスティーヴン・レヴィットと、『ヤバい社会学』のスディール・ヴェンカテッシュが、ともにこのソサエティのジュニア・フェローとして、このソサエティで知り合うことになった。

     多くのジュニア・フェローは、ザ・ソサエティ・オブ・フェローズの贈り物である「ありあまる自由」と「自由な知的交流」こそが、もって生まれた才能を開花させたと確信している。

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    URLはこれです。
    http://ja.rindoku.wikia.com/wiki/Rindoku_Wiki


     勇み足もいいところである。
     体裁が整わないどころか、まだほとんどまったく内容(コンテンツ)が無い(なにしろ外部のレジュメへのリンクも2つだけ/自前のレジュメは、なんか恥ずかしいのを見繕い中)という状態だが、多分、今やってしまわないと永遠に実現しない気がしたので、やってみた。
     本当はもうすこし種まき(Seeding)をしてから、つまり内容もそこそこできてから、公開というか公表すべきなんだろうが、ちょっとやそっとの「背水の陣」だと、ざぶざぶ後ろ向けに川を渡って「退却」しそうになるので、告白(こ)くることにした。

     誰でも編集できます。手伝ってください。あと、アドバイスとかください。

    ☆お声がけ/応援
    ☆レジュメ投稿
    ☆優良レジュメの在り処の報告
    など、プロジェクトに役立ちそうなものを随時、お待ちしております。



     すでにアドバイスいただいたみなさん、ありがとうございます。
     特に、
     このプロジェクトのきっかけコメントを頂き、@wikiで数式が使える等、確認までしていただいたideさん、
     ブログでのコメントで、Twitterをオススメしてくれた えぼしさん、google waveを提案してくれた こーじ さんにも感謝を。リアルタイム・コラボレーションでレジュメを協同作成なんてことができたらいいなと思ってます。まずは、ある程度コンテンツがないと、みんなに相手にされないでしょうから「近い将来」への抱負ですが。

     とにかく、見切り発車ですが生暖かい眼で見てやって下さい。

     誰でも編集できます。手伝ってください。あと、アドバイスとかください。

     ああ、二度も書いてしまった。


    RindokuWiki.jpg

    難しい本を最後まで読むのに人間が昔からやってきたこと 読書猿Classic: between / beyond readers 難しい本を最後まで読むのに人間が昔からやってきたこと 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

    輪読のレジュメを共有できるWikiがつくれないかと思ってる 読書猿Classic: between / beyond readers 輪読のレジュメを共有できるWikiがつくれないかと思ってる 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

    輪読のレジュメを共有できるWikiをもう少し具体的に考えてみる(もとい妄想してみる) 読書猿Classic: between / beyond readers 輪読のレジュメを共有できるWikiをもう少し具体的に考えてみる(もとい妄想してみる) 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加
     あまり話題になってるのを見たことが無いので紹介してみる。

     多分、世界で最も広く読まれているであろうミクロ経済学の入門教科書 H.R. VarianのIntermediate Microeconomicsを素材に、つくられた経済学英語例文集が、この『経済学英語ハンドブック』(名古屋大学高等教育研究センター)である。

     Intermediate Microeconomicsの最初の6章をターゲットに、各章から重要用語を5つ選び出し、各用語ごとに英文例を、Varianのこの本やその他の経済学の英文教科書から拾い出して和訳を付けた《だけ》のものなのだが、どうして今まで誰も思い付かなかったの? 思い付いても何でやらなかったの? と言いたくなるような成功事例なのだ。

     大学での授業を変えた(?)ともいわれる、あの『ティップス先生』シリーズ(http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/support/)を生んだ名古屋大学高等教育研究センターだけのことはある。
     実に当たり前のことを、きちんと丁寧にやれば、こんな良品が生まれるのだ、というよい教訓である。

     『ティップス先生』が、大学で授業を行う大学教員をサポートするシリーズであったように、『経済学英語ハンドブック』もまた、第一目的は、「先生方が英語で経済学を教えるときに」活用されることだ。
     だが第二目的には「大学院生・学部生が経済英語を学ぶときに」ときちんと書いてある。
     第三目的に「外国人留学生が日本語で経済学を学ぶときに」とあるのも素敵だ。

     多分、これは、現存する、もっとも敷居の低い《経済学英語》入門書だろう。
     選択された例文もいい。もう全部、覚えちゃえ。

     経済学の英文教科書がどの程度のものか、知るのにも、慣れるのにも最適。やや物足りないぐらいのボリュームもよい。

     いうまでもないが、こういうハンドブックはどのジャンルでだって本当は作れるのだ。その気になれば、ね(労力は見かけ以上に必要だろうけど)。



     名古屋大学高等教育研究センターの「成果物」のページ http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/publications/deliverables.html のトップに、『経済学英語ハンドブック 授業で使える例文』のPDFファイルがあります。

     いや、このセンターのサイトは宝の山だよ、ほんと。

    直リンク:経済学英語ハンドブック 授業で使える例文
    http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/publications/file/english_handbook.pdf


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