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     問題解決の定石の一つ〈逆向きに解く Working backwords〉のわかりやすい例が


    いかにして問題をとくかいかにして問題をとくか
    (1975/04/01)
    G. ポリア

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    にある。

     次のパズルは試行錯誤でも解くことができるが、この〈逆向きに解く〉を使うと、行き当たりばったりよりはずっと、見通しのよい解決になる。

     どういう風にアタマを使えばいいかを知っていると、オタオタせず、やるべきことを見つけることができる。
     どうやって解決のための「思い付き」を得ればいいか、探すべきところの手がかりが得られる。
     


    問題:われわれが4リットルと9リットルの2つの桶しかもっていないとき、ちょうど6リットルの川の水をくむにはどうすればよいか?

    Barrel1.jpg



    逆向きに解く その1……求めるものはすでに得られたと仮定せよ

    6リットルの水が9リットルの桶の中に入っている

    (4リットルの桶ではあふれてしまう)


    Barrel2.jpg




    逆向きに解く その2……問題をつくりかえよ

    つくりかえられた問題:9リットルの桶に水がいっぱい入っている。ここから3リットルの水を汲み出したい(それができれば最初の問題は解ける。9リットル-3リットル=6リットル)。どうすればいいか?



    逆向きに解く その3……さらに問題をつくりかえよ

    つくりかえられた問題2:4リットルの桶を使って、3リットルの水を測りたい。どうすればいいか?

    →(答)3リットル入れたらちょうど一杯になるように、4リットルの桶にあらかじめ1リットルの水が入っていれば良い。


    Barrel3.jpg



    逆向きに解く その4……さらにさらに問題をつくりかえよ

    つくりかえられた問題3:われわれが4リットルと9リットルの2つの桶しかもっていないとき、ちょうど1リットルの川の水をくむにはどうすればよいか?

    →(答)9リットルの桶をいっぱいにして、そこから4リットルの桶がいっぱいになるように2回水を汲み出せばいい(9リットル-4リットル×2回=1リットル)。


    Barrel4.jpg


    逆向きに解く その5……これまでの思考のプロセスを逆にたどれば、元の問題の答えになる

    元の問題 われわれが4リットルと9リットルの2つの桶しかもっていないとき、ちょうど6リットルの川の水をくむにはどうすればよいか?

    (1)まず1リットルの水を測る(9リットルの桶をいっぱいにして、そこから4リットルの桶がいっぱいになるように2回水を汲み出せばいい)。

    (2)4リットルの桶に1リットルの水を入れておく。

    (3)9リットルの桶を一杯にして、4リットルの桶が一杯になるまで水を汲み出す。

     こうして答えは得られた。




    08/05/1871 Edison, Thomas Alva -- Technical Notes and Drawings
    Inventions and creativity

    ac0167.jpg


    01/03/1888 Edison, Thomas Alva -- Technical Notes and Drawings
    Research and development

    du0197.jpg


    from the Rutgers collection of Thomas Edison's papersーhttp://edison.rutgers.edu



     レオナルド・ダ・ヴィンチに憧れていたトーマス・エジソンは、ダ・ヴィンチにならってノートをつけた。
     アイデアをメモし、それを読み返し、またメモを書いた。
     その数、3500冊。
     
     
     ピンチに陥ると、エジソンはノートと相談した。
     たとえば1900年、エジソンが出資していた鉄鉱石採掘企業が倒産寸前の事態に陥った。
     エジソンはノートをひっくり返しあちこちを詳しく読み返して、その企業の組織とノウハウをもっとうまく活用できる道を探した。
     セメント製造に転換できることが分かった。企業は息を吹き返した。
     
     
     新しいアイデアでうまくいった時も、エジソンはノートを見なおした。
     新たに得られた知識やノウハウを使って、以前に捨てたアイデアやいきづまった発明(これらは一杯あった)を掘り起こし、今ならうまく出来ないか、少しは前に進めないかと試していった。
     たとえば頓挫したままになっていた電報用海底ケーブルのアイデアは、新たに発明した電話に応用することができた。
     ゼロからはじめなくても、いざという時に使えるものが、ノートにたくさん見つけることができた。
     
     
     ノートには自分のアイデアだけでなく、他の発明家が発表した論文や紹介記事、誰かに先を越された特許、自然や社会の出来事についての感想も書きつけた。
     他人が成功した事例を元にして、別の分野でうまくいきそうなアイデアを考えるのに、こうしたメモを用いた。
     独創性や斬新さなんて、ほとんど問題にならなかった。問題を解決することができれば、それで十分だった。
     
     
     自分の発明についても、他人の発明と同様に取り扱った。
     つまり自分の成功した発明を元にして、別の分野でうまくいきそうなアイデアを考えるのに、ノートを読み返して新たにメモをとった。
     たとえば電話の発明を元にして、蓄音機のアイデアが生まれた。
     蓄音機の発明と機構は、キネトスコープ(1人がのぞきこんで見るモーション・ピクチャ=映画)に結びついた。



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     個人のパフォーマンスに関して言えば、どんな方法をとるかよりも、どれくらいモチベーションがあるかの方が大きく働く。


     「動機づけ」はどんな「勉強法」に勝る:学習におけるメタ認知ストラテジー 読書猿Classic: between / beyond readers 「動機づけ」はどんな「勉強法」に勝る:学習におけるメタ認知ストラテジー 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加


     そして人間にとって、最大の動機付け資源は、他の人間である。
     社会的な動物であるヒトの動機付け回路はそのように最適化されている。
     
     ここのところを展開すれば膨大な量になるけれど、あっさりざっくり、この知見を利用する方法(社会的ストラテジー)に次のようなものがある。

     
    1.来週までにやるべき事項を紙に書き出す。

    2.書き出した紙を日常的に繰り返し会う人(家族、同僚、友人、等々)に手渡す。
     

    envelope.jpg


     これだけで、書き出したほとんどの事項について完遂するようになる。

     書き出したり、目に付くところに貼るだけでもコミットメントの効果があるが、特定の人間宛に手渡すことが効果を増強する。
     手紙の受け取り手が監視したり命令したりする必要はない。

     「わたし来週までに◯◯やるから」
    と口約束することとは段違いに強く動機づけられる。




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