2012.12.31
読書猿ブログをどうやって書いているかを書いてみる
1 思いついたことをEvernoteへ放り込む
放り込むのは、大抵は、端切れのようなもので、多くはダジャレに属するようなものです。
例えば
「数学は待ってくれる」(言うまでもなくルビッチの映画のタイトルのもじりです)
とだけ書いたメモがEvernoteに投げ込まれます。タグはつけず、なんでも分け隔てなく「メモの投げ込み先」フォルダに入ります。
これだけだとどうしようもないので、この段階で書かれたものは、大半がそのまま塩漬けになります。
2 何度も同じことをメモする
こうしてメモしていると、別の日に似たようなこと(時にはほとんど同じこと)を、メモしていたりします。これもタグなし、「メモの投げ込み先」フォルダ行きです。
このとき、前に書いたことを思い出すこともありますが、思い出さない方が多いです。
3 似たようなメモがたまってくると、何か書けそうな気がしはじめる
同じようなことを4~5回メモすると、それくらい気になっている事柄であるので、さすがに気付くようになります。
このあたりで、少し調べてみようとか、考えてみようと思い出します。
すぐに調べのつかないことや、少しぐらい考えても分からないことは、「要調査」や「要思考」タグをつけて、と言いたい所ですが、圧倒的に付け忘れることが多く、そのまま「メモの投げ込み先」フォルダへ。
調査結果や考えたことも、同じく「メモの投げ込み先」フォルダに入ります。
(実は、この記事ですら4〜5回分のメモがあります)。
4 メモをつなぎ合わせて挫折する
こんなのがある程度たまって来ると、つなぎ合わせれば一つの記事になるのでは、と思い始めます。
やってみると、大抵は、時間か気力が途中で尽きてしまい、書きかけや書き損ないが生まれます。
これらは「ブログネタ未使用分」フォルダが行き先なのですが、「メモの投げ込み先」フォルダに留め置かれるものも多いです。
ネタ出し用に、fromEverというiPhoneアプリを使ったりもします。
これは、Evernoteからランダムに(1項目ごとに、フォルダ指定やタグ指定もできます)拾ってきた複数のノートを同時に表示してくれるもので、思いもよらない組合せが新しいものを生み出すはず・・・なのですが、今のところ忘れてたネタの無作為サルベージ用です。
fromEver 
カテゴリ: 仕事効率化
価格: ¥85

5 あきらめる/断念する
書きかけを書き継いだり、書き損ないが育って完成となればよいのですが、行き詰るのにはそれなりに理由があるらしく、〈増やす〉〈育てる〉アプローチはうまくいかないことが多いです。
むしろ、一部分だけ取り出したり、半分以上捨ててしまったり、といった〈減らす〉アプローチが有効である場合が多いです。
例えば、記憶技法を100個集めようとして、76個しか思いつかない、もうこれでいいや、と記事にしてしまう場合がそうです。
(保存版)覚え方大全/自分で選ぶための53種の記憶法カタログ 読書猿Classic: between / beyond readers

記事になったのは53個なんですが(ちょっとイマイチなのを除きました)、「53個も覚えきれない。むしろこれを覚えるのに記憶技法が必要」という反応があって、もっとあきらめればよかった、と後で思ったりします。
元々の目論見からすれば挫折であり妥協なのですが、〈断念をもって完成〉というパターンが本当に多い。
「ブログネタ未使用分」フォルダに入ったまま出てこないものを見直しても、未だ諦めがついていないせいで記事にならないものばかりが並んでいます。
6 短くする
よく言われますが、このブログの記事は(ブログにしては)長い(と言われる)ことが多いです。
中の人の主観ではそうでもないのですが、いろいろ書き過ぎる悪癖は自覚しているので、ひとつの記事にはひとつのトピックだけを書くことを、心がけようとしています。あまり守れてないですけど。
これと関係あることですが、論文の書き方で最初に教わったことですが、「批判しやすいように書く」というのもあります。
通してもらいたい系の論文はどうしてもdefensiveというか、批判しにくいように守りに入りがちなので、そういうことをわざわざ教えられたのだと思います。
たとえば両論併記「Aの可能性もあるし、Bの可能性もある」よりも、「Aである」と言い切る方が、批判しやすい。後者の場合は、Aでない反例を挙げればよいのですが、前者はそうでない。
一つの主張を断定するのは、ほとんどの場合、抵抗があります。ついつい、「さっきはAだと言ったけれど、実は100%そう思っているわけではなくて、Bにも魅力も感じるし、Cだって捨てがたい」と書きたくなるし、実際書いてしまう。後で削ります。短くなるし、批判しやすくなる。
7 対話ものを書く理由
ただ、どうしてもシングル・イシューでない、ひとつの記事に複数の主張を入れたい時もあって、そういう場合に「図書館となら、できること」シリーズみたいな、対話ものができます。
もう何年の前に冬弓舎さんという出版社さんのウェブで書かしてもらってた『よいこの社会主義』なんかも「結論を出さない」と批判されてましたけど、初期〜中期のプラトンの対話篇とか中江兆民『三酔人経綸問答』みたいに、対話ものってそういうものだと思うんです。
複数の、折り合わない主張が盛り込めるからこそ、シングル・イシューの記事ではさすがにちょっと書けないような極端な主張だって出せる。いさぎよくない、ヘタレ野郎と言われれば、まったくその通りです。
8 書評を書かなくなった理由
「短くする」関連ですが、1冊を取り上げて1つの記事にすると、どうしてもブログ記事としては長すぎてしまうので、書かなくなったところがあります。
アウトプットの分量を制限しようとすると、インプットの量も小さくなっていきます。
本を読んで記事を書く場合、ごく一部分だけを取り上げるのが精一杯という感じになります。
例を出すと、「文献学からはじまった → 研究する大学と専門分化した科学の起源」という記事ですが、
文献学からはじまった → 研究する大学と専門分化した科学の起源 読書猿Classic: between / beyond readers

これでも結構長いと言われたんですが、この元ネタは、書籍で言うと、佐々木力『科学革命の歴史構造』の第4章、初出は、中央公論社から出ていた『自然』という雑誌(1982年8月号)に載った「大学的学問としての純粋数学(ドイツ近代大学建設と科学思想-2-)」という9ページの論文です(他のソースにも一応当たっていますが)。
レジュメでも要約でもないのだから、柱1本を描いて建築物全体を感じ取ってもらうような、書評としての芸があればいいのですが。
放り込むのは、大抵は、端切れのようなもので、多くはダジャレに属するようなものです。
例えば
「数学は待ってくれる」(言うまでもなくルビッチの映画のタイトルのもじりです)
とだけ書いたメモがEvernoteに投げ込まれます。タグはつけず、なんでも分け隔てなく「メモの投げ込み先」フォルダに入ります。
これだけだとどうしようもないので、この段階で書かれたものは、大半がそのまま塩漬けになります。
2 何度も同じことをメモする
こうしてメモしていると、別の日に似たようなこと(時にはほとんど同じこと)を、メモしていたりします。これもタグなし、「メモの投げ込み先」フォルダ行きです。
このとき、前に書いたことを思い出すこともありますが、思い出さない方が多いです。
3 似たようなメモがたまってくると、何か書けそうな気がしはじめる
同じようなことを4~5回メモすると、それくらい気になっている事柄であるので、さすがに気付くようになります。
このあたりで、少し調べてみようとか、考えてみようと思い出します。
すぐに調べのつかないことや、少しぐらい考えても分からないことは、「要調査」や「要思考」タグをつけて、と言いたい所ですが、圧倒的に付け忘れることが多く、そのまま「メモの投げ込み先」フォルダへ。
調査結果や考えたことも、同じく「メモの投げ込み先」フォルダに入ります。
(実は、この記事ですら4〜5回分のメモがあります)。
4 メモをつなぎ合わせて挫折する
こんなのがある程度たまって来ると、つなぎ合わせれば一つの記事になるのでは、と思い始めます。
やってみると、大抵は、時間か気力が途中で尽きてしまい、書きかけや書き損ないが生まれます。
これらは「ブログネタ未使用分」フォルダが行き先なのですが、「メモの投げ込み先」フォルダに留め置かれるものも多いです。
ネタ出し用に、fromEverというiPhoneアプリを使ったりもします。
これは、Evernoteからランダムに(1項目ごとに、フォルダ指定やタグ指定もできます)拾ってきた複数のノートを同時に表示してくれるもので、思いもよらない組合せが新しいものを生み出すはず・・・なのですが、今のところ忘れてたネタの無作為サルベージ用です。


カテゴリ: 仕事効率化
価格: ¥85
5 あきらめる/断念する
書きかけを書き継いだり、書き損ないが育って完成となればよいのですが、行き詰るのにはそれなりに理由があるらしく、〈増やす〉〈育てる〉アプローチはうまくいかないことが多いです。
むしろ、一部分だけ取り出したり、半分以上捨ててしまったり、といった〈減らす〉アプローチが有効である場合が多いです。
例えば、記憶技法を100個集めようとして、76個しか思いつかない、もうこれでいいや、と記事にしてしまう場合がそうです。
(保存版)覚え方大全/自分で選ぶための53種の記憶法カタログ 読書猿Classic: between / beyond readers

記事になったのは53個なんですが(ちょっとイマイチなのを除きました)、「53個も覚えきれない。むしろこれを覚えるのに記憶技法が必要」という反応があって、もっとあきらめればよかった、と後で思ったりします。
元々の目論見からすれば挫折であり妥協なのですが、〈断念をもって完成〉というパターンが本当に多い。
「ブログネタ未使用分」フォルダに入ったまま出てこないものを見直しても、未だ諦めがついていないせいで記事にならないものばかりが並んでいます。
6 短くする
よく言われますが、このブログの記事は(ブログにしては)長い(と言われる)ことが多いです。
中の人の主観ではそうでもないのですが、いろいろ書き過ぎる悪癖は自覚しているので、ひとつの記事にはひとつのトピックだけを書くことを、心がけようとしています。あまり守れてないですけど。
これと関係あることですが、論文の書き方で最初に教わったことですが、「批判しやすいように書く」というのもあります。
通してもらいたい系の論文はどうしてもdefensiveというか、批判しにくいように守りに入りがちなので、そういうことをわざわざ教えられたのだと思います。
たとえば両論併記「Aの可能性もあるし、Bの可能性もある」よりも、「Aである」と言い切る方が、批判しやすい。後者の場合は、Aでない反例を挙げればよいのですが、前者はそうでない。
一つの主張を断定するのは、ほとんどの場合、抵抗があります。ついつい、「さっきはAだと言ったけれど、実は100%そう思っているわけではなくて、Bにも魅力も感じるし、Cだって捨てがたい」と書きたくなるし、実際書いてしまう。後で削ります。短くなるし、批判しやすくなる。
7 対話ものを書く理由
ただ、どうしてもシングル・イシューでない、ひとつの記事に複数の主張を入れたい時もあって、そういう場合に「図書館となら、できること」シリーズみたいな、対話ものができます。
もう何年の前に冬弓舎さんという出版社さんのウェブで書かしてもらってた『よいこの社会主義』なんかも「結論を出さない」と批判されてましたけど、初期〜中期のプラトンの対話篇とか中江兆民『三酔人経綸問答』みたいに、対話ものってそういうものだと思うんです。
複数の、折り合わない主張が盛り込めるからこそ、シングル・イシューの記事ではさすがにちょっと書けないような極端な主張だって出せる。いさぎよくない、ヘタレ野郎と言われれば、まったくその通りです。
8 書評を書かなくなった理由
「短くする」関連ですが、1冊を取り上げて1つの記事にすると、どうしてもブログ記事としては長すぎてしまうので、書かなくなったところがあります。
アウトプットの分量を制限しようとすると、インプットの量も小さくなっていきます。
本を読んで記事を書く場合、ごく一部分だけを取り上げるのが精一杯という感じになります。
例を出すと、「文献学からはじまった → 研究する大学と専門分化した科学の起源」という記事ですが、
文献学からはじまった → 研究する大学と専門分化した科学の起源 読書猿Classic: between / beyond readers

これでも結構長いと言われたんですが、この元ネタは、書籍で言うと、佐々木力『科学革命の歴史構造』の第4章、初出は、中央公論社から出ていた『自然』という雑誌(1982年8月号)に載った「大学的学問としての純粋数学(ドイツ近代大学建設と科学思想-2-)」という9ページの論文です(他のソースにも一応当たっていますが)。
レジュメでも要約でもないのだから、柱1本を描いて建築物全体を感じ取ってもらうような、書評としての芸があればいいのですが。
2012.12.24
子供のとき知りたかった技と考え方をもう一度まとめてみた@読書猿Classic
前に12歳の少年から、読書猿ブログを読むのにどこから読み始めたら良いか?と質問されたので、「子供の時に知りたかった!」と言われた記事をまとめたものをつくった。
子供のとき知りたかった技と考え方をまとめてみた@読書猿Classic 読書猿Classic: between / beyond readers

あれからしばらく経ったのと、「最近になって読書猿を知りました」という人がぽつぽついるので、その後に書いた記事から、同じ趣旨でまとめを作ってみた。
前回は「『子供の時に知りたかったこと』と大人が思うことは『現役の子どもが今知りたいこと』や『現役の大人が今子供に教えたいこと』と必ずしも一致しない」と書いたけれど、まとめ記事を眺めながら、今回はそれほど大きな食い違いはない感じがした(集まった記事がそうなのかもしれない)。
次回は「そんなことずっと知りたくなかった」というまとめを作りたいけれど。
学ぶ
これは勉強のやり方が分からなくて困っている人のために書いた文章です 読書猿Classic: between / beyond readers

ひとりで学ぶ人が知っておくべき8つの数字 読書猿Classic: between / beyond readers

語学と精読を思考訓練に高める鈴木式6分割ノートがハンパない 読書猿Classic: between / beyond readers

問い:何故学ぶのか? → 答え:自由になるため 読書猿Classic: between / beyond readers

集中する
ためしてガッテンでも紹介された10秒で心のスイッチを入れる技術 読書猿Classic: between / beyond readers

こうつぶやく→自己非難を無効化し集中力を高めるたった2つの言葉 読書猿Classic: between / beyond readers

続ける
今度こそ、続けよう→3日坊主にさよならする技術 読書猿Classic: between / beyond readers

手渡すだけでモチベーションとパフォーマンスを高める魔法の手紙 読書猿Classic: between / beyond readers

読む
誰でも訓練なしにできる→スピードと理解度の両方を高める読書の方法 読書猿Classic: between / beyond readers

漫画は読んじゃだめなの? と問う君へ 読書猿Classic: between / beyond readers

読めないとはこういうこと→勉強できない子をあぶりだす5つの質問 読書猿Classic: between / beyond readers

子どもがつまずく抽象語のコア60語をその根っこから理解できる表 読書猿Classic: between / beyond readers

問題解決する
大抵のことは解決する→質問力をブーストする100のクエスチョン 読書猿Classic: between / beyond readers

もう迷わない→勘が役に立たない状況での意思決定のツールとステップ 読書猿Classic: between / beyond readers

発明王はここまでやる→エジソンのすごいノート 読書猿Classic: between / beyond readers

自分の脳だけでは扱いが難しい量/複雑さの資料を取り扱う方法 読書猿Classic: between / beyond readers

考える、書く
物事を論じられるようになるスモール・ステップス→米国の小学生が使う思考ツール 読書猿Classic: between / beyond readers

驚くほど違う→あなたの文章を最適化するたった4つのルール 読書猿Classic: between / beyond readers

文章の型稽古→穴埋めすれば誰でも書ける魔法の文章テンプレート 読書猿Classic: between / beyond readers

数学する
問:数学を何故学ぶか? 答:言葉で伝えきれないものを伝えるため/数学となら、できること/図書館となら、できること番外編 読書猿Classic: between / beyond readers

それでも証明が書けないあなたのためにテンプレートを提供しようー数学となら、できること 読書猿Classic: between / beyond readers

教養とは、運命として与えられた生まれ育ちから、自身を解放すること
家庭環境と読書の習慣のこと/図書館となら、できること 読書猿Classic: between / beyond readers

子供のとき知りたかった技と考え方をまとめてみた@読書猿Classic 読書猿Classic: between / beyond readers

あれからしばらく経ったのと、「最近になって読書猿を知りました」という人がぽつぽついるので、その後に書いた記事から、同じ趣旨でまとめを作ってみた。
前回は「『子供の時に知りたかったこと』と大人が思うことは『現役の子どもが今知りたいこと』や『現役の大人が今子供に教えたいこと』と必ずしも一致しない」と書いたけれど、まとめ記事を眺めながら、今回はそれほど大きな食い違いはない感じがした(集まった記事がそうなのかもしれない)。
次回は「そんなことずっと知りたくなかった」というまとめを作りたいけれど。
学ぶ
これは勉強のやり方が分からなくて困っている人のために書いた文章です 読書猿Classic: between / beyond readers

ひとりで学ぶ人が知っておくべき8つの数字 読書猿Classic: between / beyond readers

語学と精読を思考訓練に高める鈴木式6分割ノートがハンパない 読書猿Classic: between / beyond readers

問い:何故学ぶのか? → 答え:自由になるため 読書猿Classic: between / beyond readers

集中する
ためしてガッテンでも紹介された10秒で心のスイッチを入れる技術 読書猿Classic: between / beyond readers

こうつぶやく→自己非難を無効化し集中力を高めるたった2つの言葉 読書猿Classic: between / beyond readers

続ける
今度こそ、続けよう→3日坊主にさよならする技術 読書猿Classic: between / beyond readers

手渡すだけでモチベーションとパフォーマンスを高める魔法の手紙 読書猿Classic: between / beyond readers

読む
誰でも訓練なしにできる→スピードと理解度の両方を高める読書の方法 読書猿Classic: between / beyond readers

漫画は読んじゃだめなの? と問う君へ 読書猿Classic: between / beyond readers

読めないとはこういうこと→勉強できない子をあぶりだす5つの質問 読書猿Classic: between / beyond readers

子どもがつまずく抽象語のコア60語をその根っこから理解できる表 読書猿Classic: between / beyond readers

問題解決する
大抵のことは解決する→質問力をブーストする100のクエスチョン 読書猿Classic: between / beyond readers

もう迷わない→勘が役に立たない状況での意思決定のツールとステップ 読書猿Classic: between / beyond readers

発明王はここまでやる→エジソンのすごいノート 読書猿Classic: between / beyond readers

自分の脳だけでは扱いが難しい量/複雑さの資料を取り扱う方法 読書猿Classic: between / beyond readers

考える、書く
物事を論じられるようになるスモール・ステップス→米国の小学生が使う思考ツール 読書猿Classic: between / beyond readers

驚くほど違う→あなたの文章を最適化するたった4つのルール 読書猿Classic: between / beyond readers

文章の型稽古→穴埋めすれば誰でも書ける魔法の文章テンプレート 読書猿Classic: between / beyond readers

数学する
問:数学を何故学ぶか? 答:言葉で伝えきれないものを伝えるため/数学となら、できること/図書館となら、できること番外編 読書猿Classic: between / beyond readers

それでも証明が書けないあなたのためにテンプレートを提供しようー数学となら、できること 読書猿Classic: between / beyond readers

教養とは、運命として与えられた生まれ育ちから、自身を解放すること
家庭環境と読書の習慣のこと/図書館となら、できること 読書猿Classic: between / beyond readers

フリーソフトで3分で描くユークリッド原論の命題関連図/人文系のためのグラフ表現

の続きである。
クリッカブルなチャートをつくる
先の記事で消化した、グラフ(有向グラフとかダイアグラムとか)を記述するための言語、dot言語で書いたスクリプトの中にはURLを埋める事ができる。
dot言語で書かれたスクリプトを、グラフに変換する(図示する)ソフトGraphvizで、描かれたダイアグラムをクリックすると、リンク先のサイトがブラウザで開かれる。
またsvgかpdfで書き出したファイルでも、このリンクは生きている。

このブログからだと直接飛べないようなので、上の画像をクリックして別窓で開いてから、図の中の「孔子」「子路」「師弟関係」をそれぞれクリックしてほしい。
この機能を使えば、たとえば論文の参照関係を示す有向グラフに、それぞれの論文へのリンクをつけることが出来る。例は、オピオイド(モルヒネ様物質)受容体についての初期研究の参照関係を表すネットワーク図(原論文へのリンク付き)。

(クリックで別窓にsvgファイルが開くので、そこでノードをクリックすると原論文が開く)
前の記事の最後に書いた対戦型哲学史
についても、クリッカブルなネットワーク図に、登場するすべての哲学者とその間の全対戦をまとめてみた。

(上の図は一部。クリックで別窓に全体図が表示)
哲学者の名前をクリックするとその哲学者が参加する全対戦リストが表示され、哲学者同士をつなぐエッジにつけられた対戦タイトル(たとえば老子とF.ベーコンとの間なら「技術とユートピア」というのがそれ)をクリックすると、当該対戦のカードが表示される。
この機能をつかえば、
これまで地上に現れたすべての思想ideasのつながりを1枚にまとめたインフォグラフィック 読書猿Classic: between / beyond readers

で出てきた思想家マップに、はてブコメントにあった、各思想家からのWikpediaへのリンクをつけられそうだ。やってみたのが下のもの。

(上の図は一部。クリックで別窓にdocs.google.comにて全体図が表示)
docs.google.comに上げてみたが、大きすぎるので、ちゃんと見るためには左上の↓をクリックしてpdfファイル(All Influences Wikipedia.pdf 1.4MB)をダウンロードした方がよい。思想家名からWikpediaへのリンクつき。検索が効いて思想家を探すこともできる。
Graphviz自体には、思想家マップをつくるときにつかったGephiのような、結びつきの多寡に応じてノードの大きさを変えるような機能がない(やるならスクリプトの中で指示しなくてはならない)ので、あれほど見やすくは作れなかった。ネットワーク分析のソフトで解析した結果を使って、スクリプト自体を作るべきだろう。
考える道具としてのdot言語 / Graphviz
dot言語 / Graphvizをつかったダイアグラム作成は、Visioなどを使ったダイアグラム描きと、ネットワーク分析との、いわば中間に位置する。
デザインの自由度やそのための操作性という点ではダイアグラム作成ソフトに劣る。
またグラフの構造に関する指標に応じてノードを分類したり表示を変える機能に十分でなく、大量のデータを可視化することではネットワーク分析ソフトに比べて見劣りする。
しかしダイヤグラム作成にかかる手間は最も少なく、ほとんど自動生成といっていいレベルにある。
この特徴は、元になるデータに更新・修正がある場合に都合がよい。
ソースコードを元にチャートをつくったり、動的データをダイヤグラムとして表示するケースなどがこれに当たる。
今ここに自分のアタマから湧き出るアイデアもまた、更新・修正が繰り返されるデータの例に付け加えることができる。
dot言語では、どの要素同士が結びつくかを列挙する形式(隣接リスト)で、グラフ構造を記述する。つまり要素の相互連関を分散的に記述でき、全体的にどうなるかを考える必要は無い。
dot言語で書いたスクリプトをエディタで書き換えながら、Graphvizの上で更新されるチャートからフィードバックを得る。
少数の要素を付け加えたり変更することで、グラフ構造の全体が(時に我々の直観を超えて)大きく変化することがあるが、どんなレイアウトにするかはコンピュータに丸投げできることで、可視化によるフィードバックを得ながら、要素を付け加えたり結びつけていくことができる。
このとき、直観だけで扱うには複雑な構造について考えるための、すぐれた思考支援ツールを我々は使っていることになる。
この「dot言語で書いたスクリプトをエディタで書き換え」というプロセスを、よりルック&フィールなインターフェイスに置き換えたものが、iPhone/iPadアプリの「Instaviz」である。
Instaviz 
カテゴリ: ビジネス
価格: ¥850

なにもないところに指先で丸を描けば丸い、四角を描けば四角のノードが生成される。
ノードからノードへ指を滑らせれば、ノードの間にエッジで結ばれる。
そして、それらのレイアウトは、ノード間の接続関係に基いて自動的に再配置される。
下の動画にあるように、新たに要素を付け加えたり結びつけていくことで、リアルタイムでグラフ構造が組み替えられていく。
もちろんdot言語をインポートでき、Graphvizのファイル形式(Graphviz GV)でエクスポートできる。
Visioを使う人が伝えるべきことが伝わるようなレイアウトを工夫し、ネットワーク分析を行う研究者がデータの構造を掴み取ろうとして、それぞれ試行錯誤するように、dot言語/GraphvizあるいはInstavizに向かう者は、アイデアを生み出し結びつけ、自身の直観を超えた何かが組み上がることを目指して、試行錯誤する。
それは〈発見的〉なものとでも言うべきものであり、つまりdot言語/GraphvizあるいはInstavizを使うのは、描こうとしているものが、どのようなものか分かっていない、むしろそれを知りたいという場合である。
※ Graphvizは、AT&T研究所が開発した、オープンソースのグラフ(ダイヤグラムや有向グラフ)描画ツール。
dot言語で書かれたスクリプト(テキストファイル)からグラフをつくり、png、svgなどを生成するツール(出力できるフォーマットはこちら)。
Graphviz本家のホームページのダウンロード http://www.graphviz.org/Download..php
(Linux, Windows, Mac OS X用)
日本語での解説は、
Graphviz チュートリアル http://homepage3.nifty.com/kaku-chan/graphviz/
dotを使ったグラフ描画 http://www.cbrc.jp/~tominaga/translations/graphviz/dotguide.pdf

の続きである。
クリッカブルなチャートをつくる
先の記事で消化した、グラフ(有向グラフとかダイアグラムとか)を記述するための言語、dot言語で書いたスクリプトの中にはURLを埋める事ができる。
digraph{ //ノードにリンクをつける 孔子 [href="http://ja.wikipedia.org/wiki/孔子"]; 子路 [href="http://ja.wikipedia.org/wiki/子路"]; //エッジにリンクをつける 孔子 -> 子路 [label = "師弟関係", href="http://ja.wikipedia.org/wiki/師弟" ]; } |
dot言語で書かれたスクリプトを、グラフに変換する(図示する)ソフトGraphvizで、描かれたダイアグラムをクリックすると、リンク先のサイトがブラウザで開かれる。
またsvgかpdfで書き出したファイルでも、このリンクは生きている。
このブログからだと直接飛べないようなので、上の画像をクリックして別窓で開いてから、図の中の「孔子」「子路」「師弟関係」をそれぞれクリックしてほしい。
この機能を使えば、たとえば論文の参照関係を示す有向グラフに、それぞれの論文へのリンクをつけることが出来る。例は、オピオイド(モルヒネ様物質)受容体についての初期研究の参照関係を表すネットワーク図(原論文へのリンク付き)。
(クリックで別窓にsvgファイルが開くので、そこでノードをクリックすると原論文が開く)
前の記事の最後に書いた対戦型哲学史


(上の図は一部。クリックで別窓に全体図が表示)
哲学者の名前をクリックするとその哲学者が参加する全対戦リストが表示され、哲学者同士をつなぐエッジにつけられた対戦タイトル(たとえば老子とF.ベーコンとの間なら「技術とユートピア」というのがそれ)をクリックすると、当該対戦のカードが表示される。
この機能をつかえば、
これまで地上に現れたすべての思想ideasのつながりを1枚にまとめたインフォグラフィック 読書猿Classic: between / beyond readers

で出てきた思想家マップに、はてブコメントにあった、各思想家からのWikpediaへのリンクをつけられそうだ。やってみたのが下のもの。

(上の図は一部。クリックで別窓にdocs.google.comにて全体図が表示)
docs.google.comに上げてみたが、大きすぎるので、ちゃんと見るためには左上の↓をクリックしてpdfファイル(All Influences Wikipedia.pdf 1.4MB)をダウンロードした方がよい。思想家名からWikpediaへのリンクつき。検索が効いて思想家を探すこともできる。
Graphviz自体には、思想家マップをつくるときにつかったGephiのような、結びつきの多寡に応じてノードの大きさを変えるような機能がない(やるならスクリプトの中で指示しなくてはならない)ので、あれほど見やすくは作れなかった。ネットワーク分析のソフトで解析した結果を使って、スクリプト自体を作るべきだろう。
考える道具としてのdot言語 / Graphviz
dot言語 / Graphvizをつかったダイアグラム作成は、Visioなどを使ったダイアグラム描きと、ネットワーク分析との、いわば中間に位置する。
デザインの自由度やそのための操作性という点ではダイアグラム作成ソフトに劣る。
またグラフの構造に関する指標に応じてノードを分類したり表示を変える機能に十分でなく、大量のデータを可視化することではネットワーク分析ソフトに比べて見劣りする。
しかしダイヤグラム作成にかかる手間は最も少なく、ほとんど自動生成といっていいレベルにある。
この特徴は、元になるデータに更新・修正がある場合に都合がよい。
ソースコードを元にチャートをつくったり、動的データをダイヤグラムとして表示するケースなどがこれに当たる。
今ここに自分のアタマから湧き出るアイデアもまた、更新・修正が繰り返されるデータの例に付け加えることができる。
dot言語では、どの要素同士が結びつくかを列挙する形式(隣接リスト)で、グラフ構造を記述する。つまり要素の相互連関を分散的に記述でき、全体的にどうなるかを考える必要は無い。
dot言語で書いたスクリプトをエディタで書き換えながら、Graphvizの上で更新されるチャートからフィードバックを得る。
少数の要素を付け加えたり変更することで、グラフ構造の全体が(時に我々の直観を超えて)大きく変化することがあるが、どんなレイアウトにするかはコンピュータに丸投げできることで、可視化によるフィードバックを得ながら、要素を付け加えたり結びつけていくことができる。
このとき、直観だけで扱うには複雑な構造について考えるための、すぐれた思考支援ツールを我々は使っていることになる。
この「dot言語で書いたスクリプトをエディタで書き換え」というプロセスを、よりルック&フィールなインターフェイスに置き換えたものが、iPhone/iPadアプリの「Instaviz」である。


カテゴリ: ビジネス
価格: ¥850
なにもないところに指先で丸を描けば丸い、四角を描けば四角のノードが生成される。
ノードからノードへ指を滑らせれば、ノードの間にエッジで結ばれる。
そして、それらのレイアウトは、ノード間の接続関係に基いて自動的に再配置される。
下の動画にあるように、新たに要素を付け加えたり結びつけていくことで、リアルタイムでグラフ構造が組み替えられていく。
もちろんdot言語をインポートでき、Graphvizのファイル形式(Graphviz GV)でエクスポートできる。
Visioを使う人が伝えるべきことが伝わるようなレイアウトを工夫し、ネットワーク分析を行う研究者がデータの構造を掴み取ろうとして、それぞれ試行錯誤するように、dot言語/GraphvizあるいはInstavizに向かう者は、アイデアを生み出し結びつけ、自身の直観を超えた何かが組み上がることを目指して、試行錯誤する。
それは〈発見的〉なものとでも言うべきものであり、つまりdot言語/GraphvizあるいはInstavizを使うのは、描こうとしているものが、どのようなものか分かっていない、むしろそれを知りたいという場合である。
※ Graphvizは、AT&T研究所が開発した、オープンソースのグラフ(ダイヤグラムや有向グラフ)描画ツール。
dot言語で書かれたスクリプト(テキストファイル)からグラフをつくり、png、svgなどを生成するツール(出力できるフォーマットはこちら)。
Graphviz本家のホームページのダウンロード http://www.graphviz.org/Download..php
(Linux, Windows, Mac OS X用)
日本語での解説は、
Graphviz チュートリアル http://homepage3.nifty.com/kaku-chan/graphviz/
dotを使ったグラフ描画 http://www.cbrc.jp/~tominaga/translations/graphviz/dotguide.pdf