fc2ブログ
     英語で論文を書かなくてはならない研究者(たまごを含む)のために、英語論文の表現例文集がたくさん出版されている。
     というのも、論文には、その構成にも言い回しにも〈定形〉がある。
     自分の頭で一からひねり出すよりも、おきまりのパターンを活用した方がはやく良い結果を得られる。

     普段、論文を書いていない、というか今まで書いたことがない人は、論文の書き方についてストックがないのだから、例文集から「借文」した方が効率的である。
     本当は論文を書くのに先立って、他人の書いた論文をある程度読めば、そうしたパターンは自然に頭に入ってくるものである。
     しかし「あるべき論」だけでは地球は回っていかない。誰もが夏休みの宿題を7月中に終わらせる訳ではないのだ。

     以下、「借文」できるよう、論文に使われる表現・例文を集めてみた。
     あまりボリュームがあっても使いにくいだろうから、数は絞りに絞ってある。

     より多くの表現が必要な人は、冒頭に触れたように英語論文の例文集が出ているから、それを参考にすることができる。たとえば、

    間違いだらけの英語科学論文 (ブルーバックス)間違いだらけの英語科学論文 (ブルーバックス)
    (2004/07/21)
    原田 豊太郎

    商品詳細を見る

    英語論文によく使う表現英語論文によく使う表現
    (1991/07)
    崎村 耕二

    商品詳細を見る

    英語論文に使う表現文例集英語論文に使う表現文例集
    (1996/10)
    迫村 純男、ジェイムズ レイサイド 他

    商品詳細を見る


    書く人のために索引なども完備しているから、日本語の論文にも役に立つだろう。

    (関連記事)
    論文はどんな日本語で書かれているか?アタマとシッポでおさえる論文らしい文の書き方 読書猿Classic: between / beyond readers 論文はどんな日本語で書かれているか?アタマとシッポでおさえる論文らしい文の書き方 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

    こう言い換えろ→論文に死んでも書いてはいけない言葉30 読書猿Classic: between / beyond readers こう言い換えろ→論文に死んでも書いてはいけない言葉30 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

    論文書きに役立つ記事のまとめ(逆引きインデクス)をつくってみた 読書猿Classic: between / beyond readers 論文書きに役立つ記事のまとめ(逆引きインデクス)をつくってみた 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加





    1.序論

    (a)論文の目的
    ・この論文のテーマは___である。
    ・この論文の目的は___である。
    ・この論文で示したいことは___である。
    ・本論は___するために書かれたものである。
    ・私が主張したい点は___である。
    ・ここでの目的は___をさらに探ることである。

    (b)扱わない事項を除く
    ・___の問題については、本論では取り扱わない。
    ・___を探究するのは、この論文の課題ではない。
    ・___を論じることは、別に機会に譲らなくてはならない。
    ・___については議論の枠から外す。

    2.先行研究
    (a)研究の紹介
    ・___については多くの研究がなされてきた。
    ・___を明らかにするために多くの研究がなされてきた。
    ・___を示すために数多くの試みがなされてきた。
    ・ここ数年___についての研究が行われてきた。
    ・___の研究は多くの議論が呼び起こしてきた。
    ・___の問題が、近年___たちによって注目されている。
    ・___によって___の研究は重大な進歩をとげた。
    ・___の考えは、___によってさらに進められた。
    ・___の問題を取り上げたのは___である。

    (b)(この論文のテーマについて)先行研究は不十分
    ・___についてはわずかな研究しか行われていない。
    ・___を試みた研究はほとんどない。わずかに___だけが___について論じている。
    ・___についてはこれまで無視されてきた。
    ・___に注目する研究はほとんど行われて来なかった。
    ・___について多くの研究が行われてきたが、___については未だ未解決である。
    ・___について多くの努力がそそがてきたが、___については明らかになっていない。

    (c)先行研究を評価する
    ・___は、この課題について新たな試みを行った。
    ・___に発表された最近の論文で___についての新しい分析を提示している。
    ・___の議論がこの分野に新しい観点を提示した。
    ・___の研究によって、近年___についての関心が高まっている。


    3.本文

    A.導入
    (a)問題を提示する
    ・問題は___である。
    ・このことは___という問題に我々を導く。
    ・___については明らかではない。
    ・___の点について明らかにしなければならない。
    ・___を調べてみる必要がある。
    ・私たちは___という問題に直面している。
    ・___については疑問の余地はないが、___についてはかなり疑わしい。
    ・はっきりさせておくべき点がもう一つある。それは___である。
    ・___を解決した後、残る問題は___である。

    (b)論じる立場の提示
    ・___という観点から考察する。
    ・___を考慮した上で___を検討しよう。
    ・___を___の点から考察したい。
    ・___を議論するのに___というアプローチをとる。

    (c)定義する
    ・___を___と定義しよう。
    ・___という言葉を___を示すために用いる。
    ・___という言葉を___という意味で使おう。
    ・___は、___という概念を含む。
    ・___は、___から___にわたる意味を持っている。


    B.否定的主張
    (a)疑わしい
    ・___については疑問がある。
    ・___の主張については疑問の余地がある。
    ・必ずしも___であるとは言えない。

    (b)否定
    ・___と考えるのは間違いである。
    ・___は全くの誤謬である。
    ・___と仮定することはできない。
    ・___というだけの理由で___とは断定することはできない。
    ・___は___をまったく説明していない。
    ・___という中心的な問題に触れていない。
    ・___は多くの側面を無視している。例えば___……。

    (c)反論
    ・___については、次のような反論が考えられる。
    ・___に対して反対の立場を取りたい。
    ・___の結果は、___の主張と反対である。
    ・___という主張には根拠がない。
    ・___という主張は、___の点から間違いである。
    ・___という主張は、___であることを説明していない。


    C肯定的主張


    (a)推測できる
    ・___であると言ってもいいだろう。
    ・___と考えることが可能である。
    ・___である可能性がある。
    ・___と仮定すれば___である。
    ・___は妥当であるように思われる。
    ・___と断定することはできないが___であることは十分考えられる。


    (b)妥当である
    ・____という主張は妥当である。
    ・___は____であることを裏付けている。
    ・___という議論に矛盾はない。
    ・___はこの議論の正しさを裏付けている。
    ・___という主張は全く正当である。
    ・___であることは自明である。
    ・___であることは十分考えられる。

    (c)確実である
    ・___は明らかである。
    ・___ということは用意に理解できる。
    ・___については疑いない。
    ・___からすぐにわかるように___である。
    ・確かなのは___ということである。

    (d)証拠がある
    ・___を示すよい証拠がある。
    ・___は___であることの証拠として役立つ。
    ・___の直接的な証拠はないが、しかし___がそのことを間接的に示す。


    Dその他

    (a)例を挙げる
    ・例えば___である。
    ・___は一例を提供してくれる。
    ・簡単な例をあげるならば___。
    ・___のために例を引こう。
    ・___からの実例は有益だと思われる。
    ・多くの例は___に該当する。
    ・___以上にこれを示すよい例は他にない。

    (b)注意を促す
    ・___に注意すべきである。
    ・ここで注意すべきことは___である。
    ・___について注意深く検討すべきである。
    ・___を見過ごすべきではない。
    ・___であることは注目に値する。

    (c)引用する
    ・これは___の引用である。
    ・___から一節を引用する。
    ・___は次のように言っている。
    ・この点について、___は次のように論じている。
    ・___と指摘した後で次のように続けている。


    4.結論
    (a)要約すると
    ・手短にいえば___
    ・以上が___の要点である。
    ・今までの議論で___であることがわかった。
    ・___と要約されるだろう。

    (b)帰結する
    ・___ということが言える。
    ・___であることが明らかになった。
    ・___と言ってもいいだろう。
    ・___とみなすことができる。

    (c)結論をいう
    ・___と結論すべきである。
    ・___という結論に達した。
    ・___ということが明らかになった。
    ・結論として言えることは____である。


    関連記事
    Secret

    TrackBackURL
    →https://readingmonkey.blog.fc2.com/tb.php/458-6b1dfc2a