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     いろいろな記憶の方法(方略)があるけれど、記憶ニーズから考えると普通の人に求められているのは、feat of memory見世物や記憶のスプリント競技に必要な、円周率を何桁も覚えるような少種類大容量タイプの記憶術ではない。
     むしろ必要なのは、多種類の事項について長期にメンテナンスできるような記憶方略である。
     
     繰り返し、間隔を次第に広げながら(例えば1日後、3日後、7日後……という具合に)復習していくスペースド・リハーサルについては、次の記事で書いた。

    復習のタイミングを変えるだけで記憶の定着度は4倍になる 読書猿Classic: between / beyond readers 復習のタイミングを変えるだけで記憶の定着度は4倍になる 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

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     スペースド・リハーサルは単純な暗唱ものから文章理解から技能習得に至るまで有効だが、最大の欠点は〈面倒くさい〉ことである。

     最初のうちはいいが、学習をはじめて何十日か経つと、復習すべき項目が〈1日前覚えた項目〉〈3日前覚えた項目〉〈7日前覚えた項目〉……と積み重なってきて、しかも復習までの期間が広がっていくわけだから、とっさに今日はどれを復習すればいいかが分かりにくくなる。
     
     対策はいくつかある。

     一番楽なのは、スペースド・リハーサルを機能に取り入れていて復習のタイミングをお任せできるソフトフェアやアプリやサービスを利用することである。

     しかし既存のソフトやサービスで、自分が学びたいコンテンツが使えるとは限らない。
     というのもスペースド・リハーサルが有効なのは、単に暗記ものだけでなく、文章理解などの高度の情報処理が必要なものから手や体で覚える身体技能系にいたるまで有効であるからだ。

     自分でコンテンツを用意できる場合もあるが、情報機器にあまり依存しない方法も(bricks-and-mortar つまり「紙と鉛筆でできる」方法も)、確保しておきたい。
     
     次善の、しかしより汎用性がある方法は、あらかじめスペースド・リハーサルのスケジュール表にして作っておくことである。
     つまり下のような表である。横軸が日程、縦軸が復習回数である。

    sch1.jpg
    (クリックで拡大)

     見てのとおり1、3、7、14、21……と次第に空けて番号を書き込んでいるだから「紙と鉛筆でできる」。実際は紙を何枚も貼り合わせることになる。
     
     やり終えたところは、線を引くなり、豆印を押すなりして消していけば、セルフモニタリング・シートにもなる。
     
     
     さて、この表をエクセルなどの表計算ソフトでつくっておくのもよい(Google Docで作るのもオススメだ)。 
     学習計画は、様々な理由から修正が必要になるが、表計算ソフトで作っておくと、日程欄を変えるだけで、スペースド・リハーサルのスケジュールを〈再計算〉が可能だからだ。
     実際、何日か休んでしまって、スペースド・リハーサルでやろうにもめんどくさくなっていまって中断することが結構多い。
     
     エクセルファイルで2012年の1年間分を作っておいた(speaced-sch.xlsx ;xlsファイルは列数制限があったので行列入れ替えました→speaced-sch.xls )。





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    薬袋 善郎

    商品詳細を見る
    ……手書きスペースド・リハーサル・スケジュール表の作り方の詳細な説明がある。




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