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     自由に考えても、人の考えは無意識の制約を受け、なかなか従来の発想を超えられない。
     
     従来の発想を超える方法のひとつには、アナロギーを用いることである。

     人は、はじめて出会った問題に対して、これまでに解いた類似の問題を思い出して、それを応用しようとする。

     新しいアイデアを得るために、このやり方を応用しよう。


     アナロギーを用いて、アイデアを得るためには、次の3つの問いに答える。


    QA(questions of analogy):似ているものはないか?/~しているものには、どんなものがあるか?

    QB(question of background):そこではどんなことが起こっているか?

    QC(question of concept):そこから得られる知恵は何か?





    せっかくなので、「アイデアをつくる」(アプローチ:集める)について実例を示そう。


    テーマ:アイデアをつくる
    KY:(アプローチ)集める

    ステージ1:
    QA(questions of analogy):「集める」「集めている」ものには、どんなものがあるか?

    →掃除機、熊手、ちり紙交換、ピンセット、雨樋、図書館、ラジオ体操のスタンプ、観光地のスタンプ、ベルマーク、磁石で砂鉄


    ステージ2:
    QB(question of background):そこではどんなことが起こっているか?

    ・(掃除機)速い空気の流れとともに細い口から吸い込む/流れを作りフィルターで濾しとる

    ・(熊手)ひっかけて地面の上を引きずる/大きなゴミはひっかけ、砂利などは残す

    ・(ちり紙交換)トラックで家々を回り自主的に出してもらい粗品を返す

    ・(ピンセット)細かいものを拡大鏡で見ながら一つ一つを摘み上げる

    ・(雨樋)予め設置された樋を重力にしたがって雨が流れ落ちていき自然に一箇所に集められる

    ・(図書館)まとめて買入れ,ひとつひとつにナンバーを割当て,予めすべての本を分類できる体系に従って仕分され,それぞれの位置へ配架される

    ・(ラジオ体操のスタンプ)一回に付きひとつずつもらえる,これを毎日繰り返す

    ・(観光地のスタンプ)一箇所に付きひとつずつ押せる,これを各箇所で繰り返す

    ・(ベルマーク)学校などに設置された箱の中に,子供たちがめいめいそれぞれの家出集めたマークを入れにやって来る

    ・(磁石で砂鉄)砂の上に磁石を這わせて砂鉄をくっつけて運び、砂鉄を一箇所で落とし,これを繰り返す


    ステージ3:
    QC(question of concept):そこから得られる知恵は何か?

    (掃除機)速い空気の流れとともに細い口から吸い込む
    (得られる知恵)高速で大量に集める→たとえば、強制連想法,ブレインライティング法(シートに3×4のマス目をつくり参加者一人ひとりに配る。参加者は輪になって座る。5分間で3つのアイデアをつくって、隣の人に渡す。これをマス目がすべて埋まるまで繰り返す。5分×4回=20分で、4×3マス×参加人数個のアイデアができる)。

    (掃除機)流れを作りフィルターで濾しとる
    (得られる知恵)大量のインプットから少数のよいものだけを残す→たとえば、要素分解×機械的組合せで数を作ってから、選択する

    (ピンセント)細かいものを拡大鏡で見ながら一つ一つを摘み上げる
    (得られる知恵)中に含まれる必要だが小さなものを拾い上げる→たとえば、既存のアイデアをもう一度詳しく見て,使えるコンポーネントだけピックアップ


    (雨樋)予め設置された樋を重力にしたがって雨が流れ落ちていき自然に一箇所に集められる
    (得られる知恵)自然にネタがたまる仕組み→たとえば、キーワード・アラートで結果を専用メアドへ送付。


    (図書館)まとめて買入れ,ひとつひとつにナンバーを割当て,予めすべての本を分類できる体系に従って仕分され,それぞれの位置へ配架される
    (得られる知恵)記事の分類を予め決めておき,入ってきたネタをその場で分類する(時間はかかるが,時間が経るごとにライブラリーは自己組織化され充実する)。

    (ラジオ体操のスタンプ)一回に付きひとつずつもらえる,これを毎日繰り返す
    (得られる知恵)1日1個のアプローチ→たとえばアイデア日記。アイデアだけでなく、アイデア作りに貢献する行動をなんでもいいので記録する。

    (観光地のスタンプ)一箇所に付きひとつずつ押せる,これを各箇所で繰り返す
    (得られる知恵)定点観測系のネタあつめ→一定の基準で,いろんな箇所からデータを集める
    →(主客を逆転して)他人にいくつかのサイトを回ってもらう仕掛

    (ベルマーク)学校などに設置された箱の中に,子供たちがめいめいそれぞれの家出集めたマークを入れにやって来る
    (得られる知恵)ソーシャルな手法,ネタを投稿してもらう場所を設ける
    (得られる知恵)投稿サイトから掬い取る→投稿サイト×ピンセットの手法


    (磁石で砂鉄)砂の上に磁石を這わせてくっついて来た砂鉄を一箇所で落とす,これを繰り返す
    (得られる知恵)選別アプローチ→例えば、玉石混交のソース(資源)から,一定の条件にかかるものだけを引っ張り挙げる(フィルター)
    →たとえばランダムネスなソース=辞書のコトバをランダムに拾う




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