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     英語の力をつける(あるいは、鍛え直す)近道は、できるだけ最初からやり直すことです。
     同じ道を繰り返すのですから、以前のような時間はかかりません。そして現在地点を通過する頃には、学習速度は何倍にも上がっています。急がば回れ。「やり直し」の時間はすぐに取り返せるでしょう。

    1.アルファベットと発音からやり直す

     アルファベットを知らないと英語が読めないし、辞書も引けません。
     同様に発音ができないままの英語学習はすごぶる効率が悪いものになります。

     これについては別項(『発音センシティブな英語弱者のための数冊の浮き輪』)に書きましたので、そちらを参照してください。

    2.中学英語からやり直す(文法篇)

     多くの人が、わからない単語が皆無になるまで辞書を引きまくって、並んだ日本語の単語を意味が通るようにつなぎ合わせることで、英語を日本語に訳した、と考えています。
     英語の予習とは、だからわからない単語を調べておくことです。
     一方で、反射神経を問うような文法問題は練習しても、目にした英文の構造を分解したり、英文に込められたニュアンスを浮かび上がらせるのに英文法を使う人は多くありません。

     英文法を中学の再初歩レベルからやり直すために、お薦めの教材は

    スタートでつまずかない中学英語 (くもんのベイシックドリル)スタートでつまずかない中学英語 (くもんのベイシックドリル)
    (2001/02)
    不明

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     上の本が簡単過ぎるなら、

    くもんの中学英文法―中学1?3年 基礎から受験まで (スーパーステップ)くもんの中学英文法―中学1?3年 基礎から受験まで (スーパーステップ)
    (1996/02/01)
    不明

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    からはじめるのも可です。

    3.中学英語からやり直す(音読・暗唱篇)

     これについても、別項(『叫ぶ英会話!音読が想像以上に凄い6つの理由 Read Aloud!!』)を先に書いたので、そちらを参照してください。

     ただし、音読は、この後で出て来るどの教材でも用いるトレーニング法です。
     問題をやり、間違いをチェックし、最終的に理解+納得できた英文は、せっかくそこまで自分が知恵と時間を注いだ特上の素材です。そのまま放置するのは、あまりにももっていない。
     やり終えたばかりの問題集などは、やった当人にとって最上の音読素材です。別の暗唱用例文を買うより、やり終えたばかりの問題集に当たって下さい。
     こうしてアタマで理解したものを、己の血肉としていって下さい。

    4.中学英語からやり直す(読解篇)

     受験英語は毎年どんどん簡単になってきているので、かつての標準英文解釈問題集が、いまでは「受験ではそこまでやる必要なし」な難解本になっています。そんな訳で、受験生用の参考書、問題集はやさしいものが増えてます。受験向けは出版数が期待できるので、本の値段も安い。言うことなしです。

     とりあえず英語は苦手だった、今も苦手意識が抜けない場合は、先のアルファベットや音読トレーニングからはじめましょう。
    戻りの大きい方が、進む速さは速くなります。

     そこまで苦手でない、けれど英語から離れて久しいなら、とりあえず

    くもんの中学英文読解―中学1~3年 (スーパーステップ)くもんの中学英文読解―中学1~3年 (スーパーステップ)
    (1997/03)
    不明

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    をなるべくはやく10回×3セット読んでみましょう(もちろん音読で)。もちろんもっとたくさん、「耳と喉にタコができる」ほど読んでもかまいません。

    中学英語 (学研パーフェクトコース 1)中学英語 (学研パーフェクトコース 1)
    (2008/02)
    学習研究社

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     この本は中学総合英語の決定版です。アルファベットの書き順から仮定法まで一冊で学べます。しかもCDが2枚付いていて重要な表現を全て網羅しています。
     冒頭のインデックスが問題形式になっていて、そこから知りたい知識にダイレクトにアクセスできるので、間違えたり、不安な箇所だけ短時間に確認する復習にも便利です。また別に問題集もあります。
    学研パーフェクトコース問題集 1学研パーフェクトコース問題集 1
    (2009/01)
    学研

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     これにて中学英語の段階は卒業です。

    5.読解トレーニング本:初級

     中学レベル1~4が終わった(終わっている)人ならば、

    安河内の英語をはじめからていねいに (上) (東進ブックス―名人の授業)安河内の英語をはじめからていねいに (上) (東進ブックス―名人の授業)
    (2001/03)
    安河内 哲也

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    安河内の英語をはじめからていねいに (下) (東進ブックス―名人の授業)安河内の英語をはじめからていねいに (下) (東進ブックス―名人の授業)
    (2001/03)
    安河内 哲也

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    をスタート本にしましょう。英語を読むのに最低限知って置かなければならない基礎的なことがカバーできます。

     やりかたは、問題と解答をいっしょに見て、先へ先へと進みましょう。
     説明は「はじめからていねいに」ですが、予備校ものなので、登場する英単語は受験レベルです。
     そんな訳で、問題を解きたい、という人も3周目くらいから始めるのがよいです。
     1~2週目はまずは目を通す(黙読する)こと、それも日本語訳→英文の順で読むことです。
     答え(訳文)を先に見ておくことは、心理学(学習理論)で言うところのErrorless Learning(無誤弁別学習)を行うのが目的です。「試行錯誤」を繰り返すより習得が速いことが知られています。
      具体的には、和訳読み→英文(わからないところにマーカー)→もいちど和訳チェック→最後に音読10回。全体を3セット(3周)といった感じでやります。

     これは以後の英語本のすべてに共通する使い方です。

     これが上の本が済んだら、

    大学入試英語長文ハイパートレーニングレベル1 超基礎編大学入試英語長文ハイパートレーニングレベル1 超基礎編
    (2008/04)
    安河内 哲也

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    に挑戦です。
     我々が読みたいのは受験英語の細切れでなく、ひとまとまりの論文なり本ですから、早いうちから「長文」に親しむに越した事はありません。
     もっとも受験では、1ページ程度の英文でも「長文」と呼ばれることがあるので、普通の意味では決して長いものではないです。

     上の本は「超基礎編」と怪しげな日本語の副題のとおり、これ以上にないほど簡単な長文問題集です。
     解説も1文1文丁寧で、加えて音読や、意味のまとまりをつかまえて読むスラッシュ・リーディング(英語を普通の速度で読むには不可欠)まで扱ってます。
     
     最低5回くらい繰り返し読みましょう。もちろん和訳読み→英文(わからないところにマーカー) →もいちど和訳チェック→音読10回です。

     同じシリーズで
    大学入試英語長文ハイパートレーニングレベル2 センターレベル編大学入試英語長文ハイパートレーニングレベル2 センターレベル編
    (2008/04)
    安河内 哲也

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    などもあり、この本も3~5回くらい繰り返して自信がついたら、次のレベルに進む事ができます。

    6.読解トレーニング本:中級
     もっとちゃんと英文解釈の基礎トレーニングを積んでおきたいという人には、次の3冊をおすすめします。薬袋善郎『基本からわかる英語リーディング教本』は、このあたりのレベルの人にこそ効果的です。

    大矢英語読み方講義の実況中継大矢英語読み方講義の実況中継
    (2002/07)
    大矢 復

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     いわゆる予備校講義ものの一冊。英文解釈の基礎(や英文解釈以前の「常識」を話し言葉で丁寧に解説してあり、読みやすいでしょう。
     英文解釈の参考書の中ではもっともやさしいレベル。気楽に入門できます。
     英語に苦手意識がある人には心強いです。

    英語リーディング教本―基本からわかる英語リーディング教本―基本からわかる
    (2000/04)
    薬袋 善郎

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     品詞分解の方法を基礎から徹底的に理詰めできっちり解説してあります。
     後に出てくる英文解釈の本をやる場合にも、先にこの本を済ませておくとの本で品詞の知識という英語を理解するための地力がつき、やる気と学習速度が高まります。

    英文読解入門基本はここだ!―代々木ゼミ方式英文読解入門基本はここだ!―代々木ゼミ方式
    (2005/05)
    西 きょうじ

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     短文を題材に、文法事項ごとに英文の読み方を詳しく解説してありますが、中学レベル+αの文法の知識が前提です。
     薄い本ですが、読解に必要な事項は網羅されています。文法知識を覚えるというより、英文を読むための思考プロセスを身につけるための本なので、やや後ろに入れました。


    7.読解トレーニング本:上級

     とりあえず、いまでは受験用としては難しすぎる、と敬遠されがちな、
    英文解釈教室英文解釈教室
    (1997/06)
    伊藤 和夫

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    を5回ほど繰り返してやります。自分の前に置かれた英文を理解するために、英語のルールに即して、英文を分析、分解することができるようになるのが目標です。
     この本の特徴は、出てくる英文を理解し、解釈の理由を説明するのに必要な知識がこの本の中ですべて含まれること、その意味で「一冊の英文解釈書」として完結している点と、その「完結性」をユーザーが活用できるように詳細な索引(インデクス)を用意してくれている点です。この2点からくりかえしやり込んだ後にも、他の本を読む際に引く「自分の手あかのついた参考書」として機能してくれます。

     これが難しすぎる人は、同じ著者の
    ビジュアル英文解釈 (Part1) (駿台レクチャーシリーズ)
    ビジュアル英文解釈 (Part2) (駿台レクチャーシリーズ)
    があります。

     このあと、受験英語のレベルを超えているとされる次の3冊をやりましょう。

    誤訳の構造誤訳の構造
    (2003/04)
    中原 道喜

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     中原『誤訳の構造』にはもともと「英語プロの受験生的ミス」という副題が付いていました。英文を正確に読むとはどういうことか、そのために自分に書けている知識はなにか、何が英文を理解することを妨げるのか、について学び知ることができます。

    英文の分析的考え方18講―英文解釈・古谷メソッド・完結篇英文の分析的考え方18講―英文解釈・古谷メソッド・完結篇
    (1982/02)
    古谷 専三

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     『古谷メソッド・完結篇』は、おそらく最も解説の多く詳しい英文解釈書です。ここにいう「古谷メソッド」とは、書かれた短文を精密に分析することを通じて、書かれていない背景/前提までをどう浮かび上がらせ、それを解釈に繁栄させるかを学びます
     英文の通り訳しているはずが訳が分からない場合は、そうした背景/前提を見て取れていないことが多いからです。

    英文解釈どう仕上げる―How to read English correctly (Blue sky series (3))英文解釈どう仕上げる―How to read English correctly (Blue sky series (3))
    (1986/10)
    多田 幸蔵島 秀夫

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     多田『どう仕上げる』は、受験生ではなく社会人に向けて、英語を読む力の、一応の完成をめざすものです。
     19世紀の名文が主だった出題範囲だった1960年代くらいまでの受験英文解釈の参考書のエートスを伝えるもので、「英語を読む」という点については、このあたりで一旦は「卒業」ということになります。

     次は
    英文読解術 (ちくま学芸文庫)英文読解術 (ちくま学芸文庫)
    (2007/06)
    安西 徹雄

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    英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)英文翻訳術 (ちくま学芸文庫)
    (1995/05)
    安西 徹雄

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    の二冊で、ここから《翻訳》の段階に入っていきます。小さい本ですが参考になるところが多いと思います。





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